男としての魅力はある種の〈可愛げ〉
2021/04/05
樹木希林さんは生前、結婚について「もしも自分のいうことを何でも聞いてくれる人だったら、今の自分になっていただろうか?」とおっしゃっていたそうです。お相手は内田裕也さんだものね、分かる(笑)。
でも私は、そこに〈結婚〉の意味であり、価値のようなものを見ます。そこにこそ、人間としての〈成長〉があるんだと。
私たちは何でもいうことを聞いてくれる人を求めがちではあります。たとえば女の子たちの「初デートのあとの愚痴を聞く会」(笑)でも、彼がなにかをしてくれなかった話で、持ちきりだもの。何でもしてほしい。でも、何でもしてくれる人は、こと自分の成長にはつながりにくいのじゃないかな。
相手の言い分を聞き、さりとて自分の気持ちも無駄にはせず、うまくやるには、〈工夫〉が要ります。そういう〈工夫〉を必要とする日々の営みこそが、知らないうちに、自分を〈成長〉という高い場所へと引き上げてくれるのじゃないかな。もちろん簡単な話じゃない。
そういう〈工夫〉であり〈成長〉を、いまはみんなが嫌がるようになってしまった。それは離婚の多さにも、現れています。加えて昨今では不倫叩き。まあ余計なことではあるけれども。
それに成長すれば、だれでもよいという訳ではない。希望や、ある種の〈可愛げ〉。
つまり男としての魅力はあるかということ。(勿論女性も同じですが)これがいちばん難しいことなんだけどね。
そして樹木希林さんの場合は、結婚した〈責任〉を文字通り死ぬまで口にされていた。つまり本物だった、ということも、言っておかねばならないことでしょうか。